バンコクでロスト・イン・トランスレーションを観た

何時の間にか、ロスト・イン・トランスレーション全国ロードショー中。案外人気だネ。関心の一端は「日本が舞台」っつーのだろーケド、こンなコトになってるとは…。
この映画をオレが観たのは3月のバンコクだった。バンコク空港で落ち合ったアメリカの友人が、ホテルに向かうタクシーで「飛行機で面白い映画観たよ。ロスト・イン・トランスレーションっていうの、観たことある?」と訊かれたのが、その映画を知ったキッカケ。「ビデオの調子悪くて、断片的にしか観られなくて。もう一回観たいなー。日本が舞台なんだ。君もきっと面白いと思うよ。」ふーン。翌日、バンコクの新名物スカイトレインで移動中にロスト・イン・トランスレーションの看板発見。えーっ、バンコクで上映してンのか。「時間があったら観る?」と訊いたら「時間ならいっぱいあるでしょ。」とのお応え。ごもっとも。
バンコク最終日。タイ最大と言われるショッピングセンターで現地の知人と軽くお食事。彼は生粋のタイ人なのだが、「これからジョギングタイムだから」とゆー理由で、そこでサヨ〜ナラ〜。ヘンなヤツ。奥さんがアメリカ人だから?ディナーの約束まで、時間が半端に空いてしまった。ショッピングセンターの近くには古めの映画館。ロスト・イン・トランスレーション上映中。
ポスターを見て初めてこの映画がアカデミー・オリジナル脚本賞を受賞してるコトを知る。監督ソフィア・コッポラ。えーっ。興味が急速に萎えてイク。「コレ、知ってた?」「うん。親の力だよね。観たい?」「観たいって言ってたの、そっちでしょ。」「いや、そうだけど…」結局観賞決定。ちなみに日本の映画館での映画観賞1回分は、タイでは10回分に相当。
折角なので「指定席」なるモノをお試し。値段は通常の1.5倍程だったと思う。場内に入ると、意外に広く天上も高い。ちょっとした劇場っぽい。日本と違って指定席は後ろの方なのが判明。確かに、その辺りの方が見やすい位置ではあった。場内が暗くなり、幕が開くと、丸く反ったスクリーンが見えた。うわー、確かに古い。すると、周りの人達が立ち始めた。何だーとか思ってたら、タイの王様がスクリーンに。あ、上映前には必ずこーゆーのがあるのか。タイの王様に敬意を!つーワケで、オレも立って敬意をば。それが終わって始まった予告編、初っ端がテキサス・チェーンソー…。何だかちょっとクラクラして来た。
本編開始はお尻のアップで。ひゃー。興味なさげとか思ってゴメン、ソフィア。ちゃンと観るよ〜ほえほえ。あー、東京だぁ。あー、あるあるこーゆー感じ、判るナァ、ほえほえ。最初の頃は、観客ほぼ爆笑状態。タイのヒト達にもウケてるヨ、良かったネ。タイ語の字幕が新鮮な感じ。しかーし、途中から笑ってるのは、ほぼオレとオレの友人だけ。特に、友人なンか笑いを抑えるのに必死とゆー感じ。膝を叩いてそこまで大笑いせンでもエーだろ。「そりゃちょっとトゥー・マッチだろ。」とオレが言うと「え、これくらいがいいんじゃないか。」とまたしても大笑い。えーと、それ、映画のギャグが?それとも、そのリアクションが?ま、笑いのポイントが、こーゆー映画で二人ともほぼ一致という事実に驚きつつ、何だかんだ楽しンぢゃった。ゴメン、ソフィア、面白かったヨ(苦笑)。でも、残念ながらエンドロールが始まると「身の回りの所持品をお確かめの上お帰り下さい」とゆースライド映写がそれに被さるので、劇場を出てしまった。なので、一番最後に出て来るとゆーHIROMIXは未見。
観終わって、次の目的地へ向かう道すがら。「でもアレ、賞を取る程でもなかったよネ。あんな安っぽいメロドラマ…。」とオレが言う。すると「え、あれはコメディだよ。賞を取る程じゃないのは同意するけど。」あう。そーゆー風に捉えたのか…。
にしても、日本を舞台にしたアメリカ人の「ドラマ」をタイで観るとは、ヘンな感じ。お陰で日本の風景を異国のモノとして観られたのは面白かった。実際、外国行って日本に帰ってくると、日本の風景がどこか外国の風景に見えちゃうコトって、ある。日本の人達もヘンに見えちゃうコトすら、ある。あの映画はそーゆー感じを誇張した感じはするケド、そーゆー体験をしたヒトにはリアルに響く描写だと思う。ちょっと見直したヨ、ソフィア。