鶏のラズベリー・ソース煮の想い出

東京でアメリカ人の友人と待ち合わせ。一時的な帰国だと言ってたので、いつもより身軽なのかと思ったら、またしても大きな鞄を2つ、その上、更に段ボール箱を一つ抱えて現れた。本当はもう一箱持って来る予定だったそーだケド、荷物が届かなかったらしー。しっかし、そのデカい鞄、日本に置いて行けばイーのに。どーせ一週間も経たナイ内に、また日本に来るンだろーに。
「これ、おみやげ。」と料理用のトングを取り出す。それがアメリカから持って来たオミヤゲか。「それから、パスタ皿。これ、シンプルで丈夫で、しかも安いんだ。この間、渡しそびれたから持って来たよ。」と真っ白な皿を数枚見せる。ひゃ〜。今夜も友人宅に一晩泊まるコトになったンだケド、そーゆープレゼントを彼に持って来たとゆーワケだ。余程、マシな皿がナイと思われちゃったンだろーか。
今夜遅くに始まったディナーは、パスタぢゃなくて鶏のラズベリー・ソース煮だった。そーいや、出会った頃、初めてごちそーになった彼特製のディナーはそれだったナァ。な〜ンてコトを話すとアメリカ人は「え?違うと思うヨ。だってラズベリー酢を日本で見つけたのって去年だから。」あー、お前は覚えてナインか。結構カンゲキしたンだぞ、オレは。パーティー・フードみたいなのをごちそーになったコトはあっても、あーゆー家庭料理っぽいのをごちそーになったのは初めてだったからナ。「ラズベリー酢がないと、この料理作れないんだ。」ンー、何か別のモンで代用してたか、使わなかったかだったと思うゾ。
彼が以前日本で間借りしてた家のコトを思い出す。そこで初めて彼のディナーをごちそーになった。その家の玄関には、毎日必ずネコがヤッて来た。前の住人がそのネコにエサをヤッていたからだ。彼はネコが苦手だケド、毎日欠かさずヤッて来るネコを見て、エサを玄関に置いとくのが日課になっていた。ネコには呼び名があったケド、思い出せナイ。その家は古かったので、消防法とやらをクリアしてナイとかの理由で取り壊された。あのネコがまだ、あの場所に通ってるかはワカラナイ。そーいや、あの家でもオレは不思議な体験をした。
そこに泊まった晩、ヘンな夢を見た。ある女性と、ナンと英語で会話してるンである。デタラメではなく、ちゃンと英語になってたと思う。オレがその英語の内容を理解してるかどーかとゆーのは二の次で、その女性はオレに話し続けるンである。そして、目が覚める前、その女性が枕元に立ち「彼のことをよろしく」とかそーゆー意味のコトを、やっぱり英語でオレに言って消えた。目が覚めると、まだ夜が明けたばかりだった。「よろしく」ってナンナンだ?オレはその頃、英語は日常会話がやっととゆー程度。それすらアヤシーとゆー。今もそーか。それなのに、夢で英会話。まさしく、夢のよー。その夢の女性の名は、彼の祖母の名前に似てるそーだ。こじつけっぽいケド、そーなのかナァ。
そーいえば。今日東京駅で彼と会った時、ふいにナニかがヤッて来て、あっとゆー間に消えた。ふと涙腺を弛ませるよーな、でも暖かいナニかだ。それが彼の叔父さんかどーかは、オレにはワカラナイ。