飼い慣らせぬモノ「HIDALGO」

「オーシャン・オブ・ファイア」をDVDで観る。この映画を大した先入観もなく観られたのは幸運だったかも知れナイ。だって、デキがイインだモン。久々にアメリカの映画を観たって気になっちゃった。原題は「HIDALGO」。これは主人公である伝説の名馬の名前。その名前の意味は「飼い慣らせぬ者」と台詞では説明されてた。マーケティングっつーのもあるンだろーケド、邦題はオレにはちとしっくり来ナイ。映画を見終わった後は特に「HIDALGO」のタイトルの方がエエと思った。主演のヴィゴ・モーテンセンが予想以上にエエ感じ。「指輪物語」のアラゴルン様がヴィゴ・モーテンセンだヨ。彼は「GIジェーン」で鬼教官役をやってたネ。
「HIDALGO」の主人公は、扱いづらい野生のムスタング種であるヒダルゴとゆー名の馬と、それを見事に乗りこなす名騎手フランク・ホプキンス。19世紀末にあった実話に基づいてるそーだ。フランクはネイティブ・アメリカンなスー族の酋長の娘と、スペイン軍(だったっけ)の隊長との結婚の結果生まれた「青い子供」である。映画冒頭、彼は騎兵隊に「速達」を届けに走る。その「速達」は、スー族の武装解除を命ずるモノだったンだケド、彼は勿論、その内容を知らずに届けたワケだ。スー族はゴースト・ダンスを踊ってる最中。騎馬兵に虐殺された仲間達に捧げる踊りである。それを騎兵隊員は戦闘前の踊りだと言ったりする。結果、銃の誤射を攻撃と勘違いした騎兵隊は、スー族を皆殺しにしてしまい、フランクはそれを目の当たりしてしまう。そンな彼は、バッファロー・ビルでネイティブ・アメリカンを「討伐」する様子を劇にしている見せ物小屋で、野生の荒馬ヒダルゴを乗りこなす名騎手として出演してたりする。野生の荒馬を乗りこなし、長距離を走って目的地にいち早く到着する能力を買われ、彼等はアラブの王族が主宰する過酷な砂漠の長距離耐久レースに出場するコトになり、その間様々な事件を克服しながらレースで一位になる。とゆーのが粗筋。
実話に基づいてはいるケド、映画の「アトラクション」な部分は尽く作り話らしー。てコトは、もしかするとアラブの耐久レースで一位になったっつートコしか実話ぢゃナイかも。しかも、映画では僅差で一位獲得だったケド、実際には圧勝で一位だったとか。あと、信じられンのが、この映画を観てイスラム社会批判だとゆー評論家がいたらしーコト。はぁ?それなら、同時にその批判はアメリカ社会にも向けられてる筈だケド。まー、こーゆー娯楽色の強い映画で判り易く、しかもストーリーに即した形でイヤミなく、そーゆーコトをイロイロ盛り込ンである。この映画にはChristian Ladyも登場して、レースに参戦してる。字幕では「英国婦人」になってた。字数の制限はあるかも知れンケド、この辺のニュアンスは結構重要だと思う。ムスリム、クリスチャン、そしてネイティブ・アメリカンなマインドの対決とゆー面もあるンぢゃないかと思うから。…そりゃちょっと違うかナ?
映画の中で、ネイティブ・アメリカンは馬を知らなかったとゆー話が出てくる。彼等は馬を「大きな犬」と呼ンだとか。白人と彼等との間に生まれた子供が、アメリカの野生馬を乗りこなし、勝つ。主な舞台はアラブなのに、まンま西部劇…ぢゃナイか。寧ろアンチ西部劇か。