死人のドッペルゲンガー

その瞬間、音が無くなるっつーンだろーか。時間が止まるっつーか。世間には自分と似たヒトが2人はいるとかナントカ。だが、アソコまでクリソツだと、もー息を呑むっつーか止まるイキオイ。亡くなった筈の友人がソコに立ってたのだ。「オマエ、死ンだンぢゃ…」と思わず声を掛けちゃうトコロだった。そ、それともゾンビになって墓場から復活。ンなこたねーって。
でももし、クローン人間っつーのが今の時代に存在してて、ソレを見掛けたとしたら、きっとこンな感じだったろー。ソレ位、見事に「同じ」に見えたのだ。前から見ても横から見ても後ろから見ても、どー見ても同一人物かと錯覚するクリソツさ。背丈も体格もほぼ同じ。髭の生え方すら同じ。帽子を被ってたので髪型は詳しくワカランかったケド、その帽子もヤツがイカにも被りそーなモノだった。唯一ちょっと違うのは、服装の趣味。ソックリさンは、どーやら競輪ヤるよーで、仲間らしき人達と新聞片手に「議論」してた。ココもヤツとは違う。ヤツは競輪なンかしなかった。
暫くドキドキが収まらなかった。幻でも見たのか。いーや、彼は確かにアソコにいた。幽霊でも見た感じって、こーゆーのをゆーンだろーナァ。ま、ヤツの幽霊はヤツの死亡直後に目撃されちゃってはいるンだケド。「あら、もう退院して帰って来たのね」なンて思ってたら、その翌日がお葬式…だったそーナ。近所のオバちゃん談。確かに帰って来たのには間違いナイ。
「ラヴァーズ」っつーDVDを観た。中国映画。友人宅にイッたら、彼が観てたンで、途中から一緒に観た。演出はハデなよーで実際はデキるだけ抑えた感じ。地味な京劇を観てる気分。CG全開なンだケド、あしらい方が京劇風味。こーゆートコロにも「文化」って滲むモンだナァと思いながら。しっかし、泣かせる場面の筈なのに、笑わせてどーするっつー感じのマヌケさが、オレには好感触(おいっ)。素直に「絵」はキレイだとは思うケド。あーそーか、コレって、コミックっつーか「劇画」を通過した京劇なンだナ、とか思った。